「ドイツ史10講」(坂井榮八郎、2003年、岩波新書)
「ドイツ史10講」(坂井榮八郎、2003年、岩波新書)
古代から現代までをカバーする通史。
ドイツ史の大きな焦点の一つはなんといってもナチスの出現だと思うが、個人的には「なぜナチスが登場して支配に至ったか」の問題よりもその後の第二次大戦の経過に関心を引かれましたね。
41年、ドイツ軍によるソ連征服が失敗した。ところが、その状況においてドイツはアメリカに宣戦布告したのだ。著者が書いている。「これを合理的に説明するのはかなり困難である」(199ページ)。
「42年の晩夏には、...敗戦の不可避性は、ヒトラーにも完全に明らかになっていたはずである。しかしヒトラーは戦争を続行する。(200ページ)
著者はナポレオンの例(自制を求める他国指導者の声を聞かず、破滅に進んでいった)も上げている(123ページ)が、このドイツは同時代の日本と重なりますね。「方向転換ができない」... 重っ苦しい歴史です。
著者が書いている「敗戦の不可避性は、ヒトラーにも完全に明らかになっていたはずである」(200ページ)ですが、個人的にはそう言ってよいか自信がありません。そんな冷静な状況判断ができていたかどうか。
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