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2019年3月 3日 (日)

「塩の道」(宮本常一、1985年、講談社学術文庫)

宮本常一さんの著作を読むのは30年ぶりぐらい、おそらく「忘れられた日本人」以来だろう。

3本の文章が載っているがどれも最初から著述として書かれたものではなくて、講演の記録のようだ。

おそらく塩の流通というのは物資の流通のなかでも最古の歴史を持つものでしょうけど、「塩の道」と題された文章はそれを全面的に展開するという感じではなく、近世末期~近代~現代(高度経済成長前)あたりの歴史の断面を民俗学的に跡付けることができる知見・著者の調査経験から跡付けようとするものだ。

本書には著者のユニークな歴史の見方がいくつもでてきます。たとえば平安時代の絵巻物から平安貴族が乗馬に長けていたと推定されること、一般の庶民だけでなく東国の鎌倉武士もそれほど乗馬が得意でなかったこと、から平安貴族は古代初期に大陸から渡来した騎馬民族の後裔ではないか、と推測されています。
これなどは他の専門家からは異論があるのでしょうが、素人のぼくがあれこれ意見を言うこと、言えることではないですね。

稲作技術の伝搬には人の移動がともなったということ。技術の伝搬というと、他所へ教えてもらいに行き技術を持ち帰る、あるいは教える人が来て教えた後帰っていく、あるいは現代的に書物で習得する、というようなことをイメージするわけですが、稲作の伝搬はそうではなく技術を持った集団の移動と定着が必要であった、ということ。これはたしかにそうかもしれません。

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