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2021年1月12日 (火)

「今こそ「社会主義」混迷する世界を読み解く補助線」(池上彰・的場昭弘、2020年、朝日新聞出版)

今こそ「社会主義」混迷する世界を読み解く補助線」(池上彰・的場昭弘、2020年、朝日新聞出版)

池上氏はテレビにもよく出ているジャーナリストだが、著作を読むのは今回はじめてである。一方、的場氏は古典的(19・20世紀)社会主義の専門家らしい。この二人の対談。

第一章では現在の資本主義経済の行き詰まりが確認される。最大の問題は格差の拡大である、と。
第二章では20世紀における社会主義国の失敗の原因が再確認される。社会主義国といえばソ連だが、それだけではなくユーゴスラビア・キューバ・チリなども取り上げられている。
第三章ではふたたび現在に戻って、資本主義経済の行き詰まりとコロナ禍が政治における自国ファーストのながれを作り出していることが確認される。それはアメリカだけでなくEUすらそうなっていると。
それで最終章の第四章だが、最初はまた現状確認から始まります。過少消費の社会になってる、と。そして、消費喚起の政策の必要性や対コロナ政策から「大きな政府」が復活してきた。その流れを見つつ両氏の「社会的共通資本を取り戻さなければならない」という主張が訴えられています。
社会的共通資本とは何かですが、医療資源や公共交通機関があげられています。的場氏によれば大学も。「取り戻す」というのは、新自由主義経済の元で衰えたこれらの資本の再構築、というぐらいの意味です。

とすると、書名にもある「社会主義」とは何?、ということになります。あとがきで的場氏は「社会性、すなわち公共性を重視するという意味での「社会主義」です。」と書いています。
だったら、池上氏からすれば対談相手は古典的社会主義の専門家である的場氏よりもふさわしい人がいるのでは、と思えます。たとえば現代経済の専門家であるとか、現代社会の行き詰まりを打開しようというすくなくとも問題意識だけはある政治家とか。具体的に誰がよいかは分かりませんが。

 

2021年1月10日 (日)

アメリカの手続きデモクラシー

アメリカ政治の専門家二人(久保文明氏と古矢旬氏)の対談(「深き分断 アメリカのこれから」/「世界」2021年1月号。この対談は2020年11月の中ごろと思われる)における古矢氏の発言:

今回の選挙で注目されるのは、共和党の議員や、場合によってはトランプ氏がいま選挙結果の最終判定者として期待をかけている連邦裁判所の判事たちが、どこまでアメリカのデモクラシーの本質である手続きデモクラシーを順守するだろうかという点です。

この対談から2カ月の間、ほぼすべてが順守の方向に動いているように見えます。

ここに、今後四年間のアメリカの政治体制の展望がかかっていると言えるでしょう。

混乱もありますが強さもあるようで、これもアメリカの分断の一断面といえるのかもしれません。

 

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